居合道は、他の武道と同様に日本が世界に誇る事のできる伝統文化のひとつです。
その原形は古来より伝わる日本刀を用いた自己防衛技術の練磨にあります。
幾つもの乱世と呼ばれる時代を乗り越え500年を過ぎた現在に至ってもなお、その道統が伝えられて来た事実には瞠目(どうもく)すべきものがあります。
乱世は歴史教科書の年表に刻まれたものだけでなく、今の時代にも日常的に現れては消える現実であることは既に御気付きの通りかと思います。
「現代は刀の時代じゃないぞ」とお叱りを頂くかもしれませんが、どの時代でも武器や道具を使うのは人間であることに変わりはありません。
人が活きてこそ武器や道具は凶器とならず、自制の心があってこそ争いを未然に治めることができます。
刀を抜かずして争いを治める事を、居合道の世界では「鞘の内 (さやのうち)」と呼び奥義とし て尊んで おりますが、戦う力を備えていながらも理と心で対処し、戦う事なく争いを治める事に こそ居合の真理があると言えるでしょう。
居合道は剣により自らを律し、自己を練磨しながら戦わずして争いを治める術を極め求める武道なのです。
居合道を学ぶ事で身につく事を一言で表現するなら「護身の心得(技術)」と言えます。
居合道を修行する中で培(つちか)われるこれらの技術は、現代の日常生活の中で確実に効果します。
それは、
1.「礼儀」と「間合い」を知る事により人間関係(学校や職場、生活環境など)の処し方を得る。
2.「目付け」と「残心」を知る事により確実な所作を得る。
3.「形(かた)」を錬成する事により無駄な動作を消す。
4.「内観」により自らの弱さを知る。
5.「刀法」を意識しながら「力み」を無くす。